#builderscon に参加してついでに発表してきました。
『知らなかったを聞く』というのが builderscon のコンセプトなので、文字通り全く知らない発表ばかり聞いてきました。
参加したのは下記の通り:
- OSS は Windows で動いてこそ楽しい
- 動け!Golang 〜圧倒的IoTツール開発へようこそ〜
- Automatic Smile Camera を作った話 - 親バカハックノススメ -
- Open Beer Serverの理論とその実装
- C 言語で行う Web フロントエンドプログラミング
- Highly available and scalable Kubernetes on AWS
- そろそろプログラマーもFPGAを触ってみよう!
- Docker swarm mode などで作る PaaS モドキとその悲しみ
- 世の中の困り事はだいたいGoのコード自動生成で解決する
- Bluetooth キーボードの作りかた
太字は僕の発表
面白かった発表
Open Beer Serverの理論とその実装
さすがの moznion 氏というか、プレゼンに対してのパフォーマンスがもはやエンジニアの域ではない気がしました。作成したビールサーバーの内容もさることながら、要所要所での笑いのポイント、最後のデモンストレーション、質疑応答の立ち居振る舞い全部が最高でした。
ただ発表資料だけではおそらくこの面白さは伝わってこないので、是非興味のある方は直接見に行かれると良いかと思います。
Bluetooth キーボードの作り方
ErgoDox のキーボードの話聞いて、これを作ってみようという風になるのはなんというかすごくエンジニアチックで素晴らしかった。 ほぼこの一言に言いたかったことが集約されてる。
中央付近にあるキーは左右どっちからも押せるようにしたかった、これを満たせる既製品はない、『既製品に従うなら自分を変える必要がある、俺は自分を変えたくない』これ名言では。 #buiderscon
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) December 3, 2016
『俺は自分を変えたくない、変わるべきはインタフェース』、この精神は多分最初の mattn さんの話も同じで、 Windows で開発するのはすごく苦労が伴うが、変わるべきはインタフェースだとする発想を発表者二人共持っていたのは面白かった。
builderscon tokyo 2016 で「 Bluetooth キーボードの作りかた」を喋りました | tech - 氾濫原
自分の発表
娘の笑顔を検出してカメラで撮影する IoT の話をしました。
割りと面白かったとかいい話だったとかそういう意見が twitter で見れたので良かったーーー。
発表を通して
全く知らなかった話を聞くのは面白かったけど、聴講者のレベルがまちまちなので、発表者側は誰にでも分かるようにレベルを落とす必要があって、そういう風に初歩の初歩から教えるようになっていない発表は難しそうに感じてしまいました。
FPGAの話は全く門外漢だったけど、デモを中心になってて分かりやすかった。 C言語で Web フロントエンドプログラミングをする話も同様にデモがいくつかあって、分かりやすかったです(Emscriptenは全く知らないというわけじゃなく、実は割りと使ったことあるレベルですが)。結局やりたいことが何なのかを分からせるのにデモより雄弁な仕組みは無いんだなと思いました。
全く知らない人達をちゃんとケアするように発表者はなるべく専門用語を使わずに、デモで分かりやすく、面白おかしく伝えられるとこういうイベントでは良いのかなと思いつつ、自分の発表にももっとデモベースで話せると良かったかなと思いました。
builderscon すごく面白いイベントでした!! 2017 年も行きたい!!!!
リクルートテクノロジーズのフロントエンド開発 2016
前書き
このエントリーは Recruit Engineers Advent Calendar の 1日目の記事です。 www.adventar.org
リクルートテクノロジーズのフロントエンド開発
リクルートテクノロジーズではいくつもの並行するタスクが走っていて、プラットフォーム基盤と呼ばれる基盤技術開発とインフラソリューションと呼ばれるインフラ開発、後はアプリケーション開発支援などのタスクが存在します。
アプリケーション開発支援の中でもウェブフロントエンド開発は目下のところ重要タスクとされており、色んなやり方をトライアルしています。
基本的には、 React Redux Node.js という組み合わせでフロントエンド開発をしています。
主には以前 ubb.jp というイベントで発表したこの資料に記載されている内容でやっていますが、諸々補足します。
リッチなウェブアプリケーションを作るための 7つの原則
以前に書いた下記のような原則をなるべく守るようにしています。
yosuke-furukawa.hatenablog.com
特に気をつけているポイントは以下の点です。
- サーバーサイドでもクライアントサイドでもレンダリングをする ( Server Side Rendering)
- ユーザーの入力に迅速に反応する ( Optimistic UI )
- history を壊さない、特にブラウザバック・フォワードをした時のスクロール位置に注意する (History API / Scroll Middleware)
それぞれ少しずつ補足します。
サーバーサイドでもクライアントサイドでもレンダリングする
所謂サーバーサイドレンダリングと呼ばれるレンダリングを行っています。
構成としては下記のような形です。
Backend に Micro Services 化された API 群があり、 ブラウザのレンダリングをサポートするための層として Backend For Frontend を設置し、そこでサーバーサイドレンダリングなり、 API のアグリゲーションなり、認証なり、ファイルアップロードなり、 WebSocket なりのマルチタレント役を引き受けてやっています。
サーバーサイドレンダリングをするのは主に初期ロードの高速化のためです。実アプリケーションの中では react-router の機能と react の renderToString を使ってレンダリングをしています。ただし、そのままだとアプリケーションによっては性能の問題を引き起こす可能性があるので、チューニングもしています。主なチューニングの内容はこちらの資料が詳しいです。
ユーザーの入力に迅速に反応する
Optimistic UI とも言われますが、入力した内容に対して迅速にリアクションを返して何かが起きてる事をちゃんと伝えるようにしています。
Optimistic UI 出典元: Stop Getting In My Way! — Non-blocking UX – Sophie Paxton – Medium
これを実現するにはボタンを押した、フォームから検索した等の状態が変わったタイミングでインジケータなり、プログレスバーなりの情報を出して上げる必要があります。今のところ、このリクエストの元となるイベントが発火してから完了するまでを簡単に実現するためには redux-effects-steps というミドルウェアライブラリを活用しています。
これ自身はそこまで多機能ではなく、 redux-effects と呼ばれるミドルウェアライブラリを使ってアクションをまとめ上げる機能を提供するものです、これを使ってリクエストの開始、完了、失敗を管理しつつ、開始が始まったらインジケータを表示し、完了したらインジケータを無くすといった処理をシンプルに書けるようにしています。
history を壊さない、特にブラウザバック・フォワードをした時のスクロール位置に注意する (History API / Scroll Middleware)
Single Page Application だと、 ブラウザの戻る・進むをした時にうまく戻れなかったり状態が引き継げないことがあったりします。これ自身はアプリの作りが悪かったりもするのですが、気をつけないと簡単に起こせてしまうので、注意が必要です。
戻るボタンを押した時に正しく初期のHTMLがロードされていない例(Githubでコメントを追加て、別なページに行った後、戻ってくるとコメントが消えている例)。 出典元: 【翻訳】リッチなWebアプリケーションのための7つの原則 - from scratch
リクルートテクノロジーズでは、 react-router の history 機能を使いつつ、自分たちでロードのタイミングを調整するために redux-async-loader というライブラリを使っています。
これ自身は、割と多機能なライブラリで、 react-router から Component が mount された時にアクションを実行させてデータをロードする機能やサーバサイドレンダリングでもアクションを実行する機能などが存在しますが、 react-router-scroll
と組み合わせると、戻る・進むを行った時のスクロール制御の機能も提供しています。
import useScroll from 'react-router-scroll'; const RenderWithMiddleware = applyRouterMiddleware( useAsyncLoader(), useScroll() );
API仕様 ( Consumer Driven Contract )
API 仕様を定義するのに Consumer Driven Contract を実践しています。 Consumer Driven Contract とは、従来バックエンド (Provider)が決めていた API の仕様をフロントエンド(Consumer)が主導して要求を書く(Contract)ことで API 仕様を決めていくというスタイルの仕様策定方法です。
pact とかのツールが有名ですが、リクルートテクノロジーズの僕の開発では、 agreed というツールで行っています。
agreed は Mock Server 兼、テストクライアントになっており、 agreed を使って Mock となる振る舞いを決めてサービスを作りつつ、バックエンドはその Mock の内容を確認しながら実装していきます。
最初にクライアント側での要求を書きます。 agreed ではこれを contract と呼んでます。
このファイルは JSON5 や js などで書くことが可能で、 request の形と response の形を決めて、その内容を記述するスタイルです。
次に agreed server を起動させてクライアント側を先行して実装していきます。実装する過程で API の詳細が決まってくると思うので、それを基に agreed の contract ファイルを拡充させていきます。
最後にagreedをclientとして起動させてバックエンドがその要求(Contract)を満たしているのかを確認することができます。
これを使うとバックエンドの統合テストっぽくも振る舞えるので、少なくともクライアントの要求を満たしているかどうかは確認できます。ただし、これを使ったからといって、 『API 仕様定義のための交渉事が完全になくなる』というわけではありません。あくまで API 仕様を定義するのはバックエンドとフロントエンドの両方です。このフロントエンド側とバックエンド側の議論の叩き台にはなるし、交渉をスムーズにする手助けにはなります。
他に諸々
上記のような技術を使って実際のアプリケーションを構築している真っ最中です。
1つは先日リリースされた Booking Table ですが、 Node 学園祭でも発表があったとおり、 かなりチューニングに気を使って設計されています。 またこれからもリリースされるものはあります。
まだまだフロントエンド開発のためのツールや方法論は足りていないので、絶賛作りながら足りないツールやハックをノウハウとして貯めている所です。アップデートがあったら2017年版をいつか公開します。
Node学園祭2016を開催します。 #nodefest
あと一ヶ月、早いものです。 というわけで、Node学園祭の 2016 を開催します。
今回のエントリはNode学園祭内でどういうことをやるのか事前にシェアしておくことで参加者並びに発表者の皆様にスムーズな参加を促すための紹介エントリです。
今回のコンテンツの紹介をします。
今回は2 days!!
今回は2日開催します。土曜と日曜日、土曜日がNodeSchoolを中心としてワークショップ形式のコンテンツです。日曜日がNode学園祭のキーノート形式のコンテンツです。
これまで1dayだけで濃縮させて実施してたんですが、さすがに無理があると思ったので2daysに分けることにしました。
1st day
まず、初日は dots で開催します。NodeSchoolや NodeDiscussionや CodeAndLearn 等、ワークショップコンテンツが豊富に配置されています。
NodeSchool
NodeSchool は基本的に Node.js 触ったこと無いという方に向けてのチュートリアルです。下記のコンテンツを提供する予定です。
- javascripting (JavaScriptのワークショップ、変数宣言から関数定義とかifとかforの書き方まで含まれてる初心者向けワークショップ)
- learnyounode (Node.jsのワークショップ、NodeのAPIであるfsやhttpを使って実際にNode.jsでCLIを作ったりサーバを作る初心者向けワークショップ)
- how-to-npm (npmのワークショップ、npmのコマンドの使い方と基本的な一連の流れを学べるワークショップ)
- learnyoureact (tako_blackさんが作った React を学べるworkshop)
- tower-of-babel (僕が作った ES2015/ES6を学べるworkshop)
- electronica (僕が作った Electron workshop)
ふつーの javascript ワークショップから npm, babel, react, electron といったコンテンツがチュートリアルとして実施されます。もしかしたら講師の方から新しくワークショップが追加される可能性もあります。
NodeDiscussion
NodeDiscussion は前回と同様、今回来てくれる James Snell, Bradley Meck, Mathius Buus, Yoshua Wuyts, Cheng Zhao, (maybe Douglas Crockford) に対して日本の皆さんからの意見を言う場を提供しています。前回と回答してくれる人が違う分、得られる回答も違うと思います。
James は Node Core Memberであり、いま Node の HTTP2 in core を進めている人でもあります。 Bradley は ES Modules との interop を取ろうとするためのプロポーザルを書いている人物です。 Mathius は Stream Hacker の一人です、さらにたくさんのnpmリポジトリを書いています。 Yoshua は choo というフロントエンドフレームワークを書いている人の一人だし、 Cheng Zhao 氏は、 Electron の作者です(あともしかしたら Douglas Crockford 氏も Discussion に参加してくれるかもしれません(スケジュール次第))。
豪華メンバーで今の Node.js に求めるものが何なのかを検討していく会にできればと思っています。
Paypal/BrainTree Workshop
今回はクレジットカード決済の PayPal から2つワークショップが追加されています。Paypal の使い方から BrainTree っていうサーバにクレジットカード情報を送らずともクライアントだけで決済完結できるためのライブラリの使い方までみっちりと紹介してくれます。
実際お金系の取り扱いはどうしても難しいところでもあるし、うっかりすると致命的な問題を引き起こしてサービス停止する可能性もあるので、これを機に是非学んでみることをおすすめします。
CodeAndLearn
今回のチャレンジングコンテンツの1つです。 CodeAndLearn は実際に node.js のコアリポジトリにコントリビュートしてみるというワークショップになっています。
Node.js のコアリポジトリへのコントリビュートの仕方は以前に記事で紹介しました。
yosuke-furukawa.hatenablog.com
しかしながら、実際にコントリビュートをしてみようと思うとそこのポイントを探すところからが難しく、"はじめの一歩"を踏み出す勇気も必要だと思います。今回の CodeAndLearn はこのはじめの一歩をみんなで学べるようにするためのワークショップです。こちらで「この辺りコントリビュートしやすいよ」的なポイントはまとめておきます。是非この機会にコアにコントリビュートしてみましょう。
LTs on 1st day
LT 大会も用意しています。初日はどちらかと言うとワークショップを中心としているので、LTもコアなネタは避けて割りと初級から中級者向けのトークを揃えました。
是非参加してください。
2nd day
2日目は例年通り CyberAgent で開催します。初日と2日目で場所が違うので気をつけてください。初日はdots、2日目はCyberAgent のある mark city で開催します。
今回、トーク応募がなんと60通近く来ており、その中からゲスト分を省いた12個のトークを選ばないといけないという状況でした。どのトークも面白そうだったのですが、スタッフ数名からのvoteとトークテーマの偏りを是正しつつ、なるべく新しく話してくれる人にフォーカスを当てる等、色んな気を使いながら選びました。選ばれなかった方は申し訳ありません。
特に海外からの応募が多く、全体的に英語セッションが多いので国際カンファレンスのようになっています。もうNode学園祭は日本のローカルミートアップではなくなり、「国際カンファレンス化してきている」というのをひしひしと感じます。
keynotes
さて、どの発表も濃いのですが、今回は Douglas Crockford 氏の基調講演があります。 Douglas Crockford 氏といえば、 The JavaScript Good Parts という本を書いた著者であり、 JSON という今ではほぼデファクトスタンダードになっているフォーマットを広めた人であり、 jslint という Linter の基礎を作った人でもあります。ECMAScript version 4 の仕様に終止符を打った人物でもあります。伝説のような開発者です。
どういう話をするのか、僕にもまだ明かされていません。僕も楽しみです。
他のトークは全て2本のトラックが並列で発表されています。朝から夜までぶっ通しでトークがあって、非常に楽しみです。 どのトークも胸を張ってオススメできます。今回はテーマのバランスを取るつもりでフロント向けのトーク(Vue.js/React/choo/PostCSS)もありますし、Nodeコアなトーク(WebStandard on Node/ES Modules)もあります、Electronなトーク(The Evolution of Electron)もあれば、ハードウェアハック(ファミコンハック&ラジオハック)もあります。サーバーサイド向けには GraphQL や now といったトークもあります。JavaScript のコアなトークもあります。分野の広い Node.js らしく、色んなテーマがごった煮で聞ける良い機会だと思います。
午前中に6本のトーク、午後は基調講演含めて13本のトークがあります。
かなりギュウギュウに詰めてしまったので見る方は大変かもしれませんが、この機会じゃないと見れないトークも多いので是非是非チェックして帰ってください。
LTs on 2nd day
2日目の LT も用意しております。2日目は初日とは違ってかなりコアな内容のものも増やしました。
懇親会
懇親会ではいつも通りコミュニケーションを中心とした懇親会をします。 いつもの通り、飛び込みLT大歓迎ですし、これを機会に海外ゲストと熱いトークをするのもおすすめです!
是非参加してください!!!
Node Interactive Europe 2016 に参加しました。
Node Interactive Europe とは
Node.js が Linux Foundation の傘下に入ったのですが、その Linux Foundation の支援を受けて開催される非常に大きなカンファレンスの1つです。アムステルダムで行われました。 とにかく濃い4日間で、今回は Node.js の発表あり、アンカンファレンスあり、Collaborators Meetupありで面白かったです。
First Date (Node Interactive)
初日、カンファレンスにはbreakfast/lunch がついていて、クロワッサンとスムージーがおいしい。
Node Foundation Opening Talk by Mikeal Rogers
Node.js のこれまでとこれからを表したまとめ的な話。 Node.js はサーバーだけじゃなくて、フロントエンドにも活用されるようになった( babel, browserify, webpack, gulp etc)
クライアントアプリケーションを作るためのフレームワークである、 Electron も流行している。
他にも IoT でも活用されてる ( Johnny Five, NodeBots, NodeCopter, とかのライブラリもそうだし、 tessel, arduino, raspberry PI, edison etc にも対応されてる )
クラウドサービスだと AWS Lambda , IBM BlueMix , GCP , Microsoft Azure などが API や Microservice 対応として Node.js を採用。
これまでの Node.js の話が包括的にされていて、かつ今回の Node Interactive Europe で話す各keynoteの先出しになっていて、聴講者の興味を刺激する良いトークだった。
発表者目線だとこんな感じ。
Node.js Core State of the Union by James Snell
Node.js Core の James、今年の NodeFest ゲストの一人。
Node.js はどんどんコミットされてかなり変更が加わっている、1年前のv4のときと比べると2700以上のコミットがある。 それの 49% はドキュメントやテストやbenchmarkで、より安定に向けて進んでいる。
benckmark の結果、v4とv6でパフォーマンスは上がっていて、しかも性能は安定している。大幅な落ち込みなどが無いことが分かる。
今後は Web Standard の方向を目指している。 HTTP/2 の話が eps (enhanced proposal specsといって、coreへの提案仕様) に上がるようになった。
async-await という新しい非同期処理手法も v8 で実装されている(ただし、Nodeで使える時期は未定)
ES Modules の話もある。ただし、この問題は根深くていまだ議論中。
Async-Hook という EventLoop のライフサイクルにおいて、イベントをフックできる仕組みを検討中。これはローレイヤのAPIになる予定。
V8 の上にVMを検討、V8以外のエンジン(ChakraCore, SpiderMonkey, JSC etc) も載せられるようにするために一旦中間レイヤを置く予定。
Stream API を native layer でも使えるように新しいnative APIを検討。
新しく ABI の機能を追加、 native addon を作りやすくするように。
ElectronとかIoTのようなembed向けに軽量化の提案。
国際化対応をより改善していく予定、実際にはデータセットを簡単に検索できるようにする
Debug 用に core dump analytics ができるようにしていく。 Node Report の仕組みを検討中
Node.js が今取り組んでいること、今後が分かるトーク。面白かった。
Node Together by Ashley Williams
slide: https://ashleygwilliams.github.io/nodetogether-keynote/#1
Node Together という inclusivity を向上させるためのカンファレンスについてのトーク。 これまであんまり node に触れてこなかった人たちや、やってみたかったけど CLI とかわかんないし Node の初め方もわからないような人たちに対して、みんなで一緒にやっていこうという道を示すためのカンファレンスが、 NodeTogether 。
現在、 Node のコアメンバーは基本的に男性で構成されているし、女性が全くいないし、人種もアジア人が少なかったりと偏った状態、本来は色んな人の意見を聞くのが inclusivity の本質なので、これをなるべく是正していきたいとする活動(アファーマティブアクションという)。
「Node には inclusivity の問題がある」これを一旦全員で問題としてシェアするところから初めたいという考えさせられるテーマ。 日本でも Node Together JP を開きたいという話を最後に Ashley と話したところ、「ぜひやってほしい、支援が欲しかったら言って!」とのことなので実施していこうと思う。
EventLoop, yay by Bert Belder
slide: EventLoop, yay
EventLoop の話とその詳細について。EventLoop の図は間違いが多く、正確に EventLoop が理解されていることはじつは少ない。 下の図では ThreadPool の中に Network が入っている。 Network は実際には Thread で扱っていない(epoll/kqueue/ etcなので、正確にはスレッドじゃない)
こっちの図は Non-Blocking Worker という実際には存在しない worker がいたり、 その worker が client に値を返すような事が書いてある
こっちの図は Event Stack と呼ばれるスタックが存在している。こんな風にイベントを stack に溜めたりしない。
EventLoop は実際にはそのプラットフォームごとに微妙にやることが違うので、画一的な図にしにくく、抽象的な絵になる。 Bert が書くとしたらこういう感じ。
Node.js の中ではネットワーク以外にも色んな非同期処理がある、それぞれを統一的に非同期処理として隠蔽するために下の方ではスレッドだったり、kernel操作だったり、シグナルハンドリングで処理をしている。
Callback/nextTick/Promise も1つのイベントループだけではない、タスク処理をしている。
ものすごく面白かった。ちょうどタイムリーにもこの前Software Design 2016/10号に似たような話を書いていたのでためになった。
The Road Forward by Tracy Hinds
Inclusivity の話を再び。ちょっと違った目線から。Node.jsは先程 Inclusivity の問題がある、としていたが、それを実際に解消するにはどうしたらいいか、というトーク。どうやって Welcome な空気を作って沢山の人に contribute してもらうか。
- アクセスするバリアをなくす
- バイアスを減らす
- みんなが安心して contribute できるようにする
というテーマ。二回も Inclusivity トピックが上がるというのはやっぱり課題はあるのだろうし、そこを声高に発言する必要に迫られているのだろう。
Isomorphic JavaScript with React by Azat Mardan
slide: github.com
Reactで Isomorphic JS を作ってみようという話。実際に実務で同じようなことをやってるので、わかりやすかった。
Universal webapps 誰が一番早く作れるかなっていうworkshopで1位になってしまった。 mongodb が既にインストールされてるっていうアドバンテージが生きた
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
ReactのServer side rendering 遅い問題、講師の人に聞いてみたら、
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
1. cluster でマルチプロセス
2. nextTickでイベントループ止めない
3. 子プロセスでレンダリングする
とのこと。
サーバーサイドレンダリングの問題はまだ良いソリューションはなさそうなので、地道にイベントループを止めない仕組みを検討するか自分でキャッシュ機構を作ったりする必要がありそう。
The CITGM Diaries by Myles Borins
slide: The CITGM Diaries
Canary In The Gold Mine と呼ばれる、Node.js がCIでやってる smoke test の仕組み、長いのでcitgmと呼ばれる。仕組みとしては CI の中で citgm を動かして、よく使われてそうなライブラリを最新のNode.jsでリリース前にテストできるようにする。
citgm が人知れず body-parser の障害と gulp の障害を未然に防いでいたと聞いてすごいと思った。
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
実績も上げていて、実は非常に使い勝手が良いライブラリ。自分でも動かすことができるので、自分達のライブラリでcitgmを動かしてみたいと思ったら下記のようにすれば良い
$ npm install citgm -g $ citgm <module-name>
Text Mining with Node.js by Philipp Burckhardt
Node.jsでテキストマイニング処理をしようとする人の話、Text Mining は機械学習ブームで色んな言語で実証が進んでるけど、やっぱりそこまで Node.js では進んでいない中で、色々ライブラリを構築していくっていう気概を感じる良い話だった。
Text Mining みたいな領域を Node.js でやるの、余程のもの好きか、browserでも動かしたい勢かどっちかだと思ったけど、こういう話が機械学習ブームで増えてくるのは可能性を広げる意味では良いなと思っている
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
この辺のライブラリの話だった。
Evolving Web Standards in Node.js by James Snell
HTTP2 in Core の話。 Node.js にも HTTP2 を持ってこようという話で、なるべく既存の http/https
とのAPI差分を zero に使えるようにする予定とのこと。
HTTP2の HoL Blocking 回避の話や現状で nghttp2 を使って実現する話などの設計が共有されていた。
const http2 = require('http').HTTP2;
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
const server = http2.createServer(opts, (rq, rs) => {
rs.addHeader('foo', 1);
rs.write('hello');
})
HTTP/2 in core using nghttp2 !!! #NodeInteractive pic.twitter.com/GHvwdcZ6Sd
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
ただ実際に http2 と http1 で同じAPIを提供しようとすることはできても、その capability が異なるので、それは別途 low level な API も新たに追加する予定、一旦 nghttp2 を普通に使えるようにしたものを下記リポジトリで公開するのでできたらそこにフィードバックとPRがほしいとのこと。
The Cost Of Logging by Matteo Collina
pino っていうロギングライブラリ、性能が他の bunyan や winston とくらべても速いという事で、性能を売りにしている。
pino よりも性能を計測するためにボトルネックを調査する方法として 0x と autocannon というライブラリが使われててそっちが面白かった。
0x は flamegraph を簡単に作るライブラリ
autocannon は ab テストみたいにリクエストを送るツール、http pipeline に対応している
Building the Node.js Global Distribution Network by Guillermo Rauch
最近 Guille が作った会社の zeit でやっている now
というツールに関してのプレゼン
now はものすごく簡単にクラウド上に自分のサーバーを建てられるサービスで、雑に言えば npm install now -g
して now deployment <your_server_code_path>
したら後は待つだけでデプロイできる。
ただし、持っているのはコンピューティングリソースだけで、データリソースとしては別な所を借りてくる必要がある。
Redefined cloud computing #NodeInteractive pic.twitter.com/GVMttHFNLs
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
Immutable deployment という仕組み。 now で勝手にdeployすると新しい場所に勝手に作られる。さらに now alias でドメイン変更可能。
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 15, 2016
初日のまとめ
- Nodeのこれまでとこれからの話がメインに語られてた
- 他のはライブラリを使ったトークで、ノウハウが多くて面白かった。大体日本と語っている内容は似てても、向こうはちゃんとライブラリのauthorが語るのでちょっと違った雰囲気になる
飲み会で、最近どんなhackyな話題あるの?って聞いてみたら 「Rust いいよ Rust」って言われて割りとみんな新しいものに手を出してる感じが良かった。
Node Interactive 参加者の数名が「最近 Rust 触ってんだけど、 Rust いいよ Rust 」って言ってて、 Noder の中でも Rust 流行ってんだなーと感じた
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
Second Date
さて、2日目。この日で Node Interactive Europe としてのカンファレンスは最終日、3日目と4日目はコラボレーターのための日になる。
Bitcoin, Blockchain and Node by Portia Burton
slide:
Bitcoin と Blockchain っていう今丁度盛り上がっている分野のトーク。
特に Blockchain にフォーカスしていて、とりあえずやってみたかったら Etherum っていうプログラマブルに blockchain を使えるプロジェクトがあるからそこから参画していくと良いという紹介だった。
勉強不足でわからないことが多いので、この分野はもう少し手を動かして学んでいく必要があるなと思った。
Elegantly Produce and Consume Compiled Packages by Benjamin Lupton
slide:
Compiled な Modules を作る時のエレガントな方法というタイトル、実際に今は babel だの TypeScript だのでコンパイルされるライブラリが多い。さらに言えばモジュールを作る時に READMEだけじゃなくて色々本来は必要なファイルもある(CONTRIBUTING.mdとか)
editions というライブラリでその手の問題を解決しようという話だった。
良いnpm module の作り方:
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
- package.json にちゃんとライセンスを入れる
- HISTORY.mdをかく
- CONTRIBUTING.mdをかく
- LICENSE.md もかく
そういうのをちゃんとやってくれる editions というライブラリを使う
Ambitious Desktop Apps with JavaScript and Electron by Felix Rieseberg
slide:
Slack のエンジニアからの Electron アプリの話。
https://t.co/Lp0qduf44V using node.js/Babel/React/some native modules (using Electron) #NodeInteractive
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
https://t.co/Lp0qduf44V は Full text search engine だけは C++ で実現しているとのこと。
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
Auto Updater / Dialogs /Push Notification / ES2015/WebCam/WebRTC とかのその辺の機能がライブラリから使えるっていうエコシステム的な側面を見て Electron を Slack では採用。
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
Programming for the NES with JS
slide: http://fritzvd.com/talks/node-ie-nes/#1
ファミコンをJavaScriptでハックする話。この辺のエントリが元になっている話。
Getting started with NES programming · fritzvd
NES written in JavaScript #nodeinteractive pic.twitter.com/Uh4JdTEniV
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
やばい、普通にファミコン起動し始めたぞ
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
ファミコンが起動しないということでみんなが browing your disk って言い始めてクッソフイタ
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 16, 2016
独特の発表スタイルwそして、マッドサイエンティストな感じのハックですごく面白かった。
Alt-Ctrl: Scream into this Arduino by Rachel White
Arduino に向かって叫べ!っていうタイトル、熱い。 自動でネコに餌をやる仕組みを作ったりと根っからのハードウェアハッカー。 今回は Node.js で Arduino に向かって叫ぶとLチカするようなデモをしたりといくつかデモでArduinoだったりNodeBotsの面白さをintroductionしてくれた。
npm v4/v5 by Kat Marchan
npm v4 と v5 の話 by Kat Marchan
npm v3 はもうそろそろリリースされて1歳になる。LTSとして今後はメンテナンスフェーズに移る。次は npm v4。
npm v4 は v3 のときほど大きな変更はしない予定。10月リリース予定。
node path の prepend をデフォルトではオフに。 もともと npm v3 は現在の Node の path が勝手に prepend される仕様。オプションで追加できるように修正する予定。
npm search の復活、 incremental search がcache機能でできるようにする。
prepublishは install 時も行われる分かりにくい仕様なので、 deprecated その代わりに prepare 用のhookを追加、これが prepublish 相当の動きをする。本当に publish の前で行う prepublishOnly というhookも設置予定。prepublishOnlyは deprecated の prepublish が浸透したら、ゆくゆく名前を prepublish に直す。
npm v5 は shrinkwrap の改善にフォーカスする。 2017年 first quarter 中を目処に実施する予定。
State of the Union : Express by Doug Wilson
Express の現在のメインメンテナである Doug Wilsonからの今後の Express の話。
Express とは言わずと知れたウェブアプリケーションフレームワーク、 router の仕組みと thin な middleware から成る。
Express は Node Foundation に incubating project として追加された。長期メンテ保証されるようにコラボレーションの仕組みを作っている。
Express は内部的に3つの organizationを持つ。
それぞれの役割はこんな感じ。
Express v5.0 に向けては下記のようにしていく。
- Promise をサポートする
- template engine 改善
- cookie/querystring 処理の改善
- route syntax を新しくする
- よりコアを細分化していく。
2日目まとめ
- npm が v4 / v5 のロードマップを見せた
- Express v5 で Promise が!
これで一旦カンファレンスは終了、 Node v7 あり、 npm v4, v5 あり、他のたくさんのモジュールの解説ありで非常に有意義なイベントだった。
Third Date
ここから先はそこまで語るところはないのでかいつまんで。 三日目は、 contribution のやり方に主眼をおいてみんなでアンカンファレンス形式でトークしつつも、 code and learn っていう実際にコントリビュートをその場でレクチャーする話が面白かった。
libuv のメンテナーの saghul にlibuv v2 のmain features は何?って聞いたらそれを決めるために今日のmeetupに来たんだぜって言われて、おおってなった
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 17, 2016
CodeAndLearn やると、参加者が自発的にNodeのcontributeする方向に促されるんで素晴らしいなと思っている。隣の後輩は初めて node に PRを送っている。日本でもやりたい。。
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 17, 2016
libuv v2 talks by saghul
libuv v2 どうするかという話、 saghul, bert belder, bnoordhuis, が一同に介して libuv の話するとか胸熱な感じだった。
libuv v2は既に master branch にマージされていて、新APIやplatform 依存コードの cleanup などが進んでいる。
いまだに libuv のだめな所、主にdocumentationが弱点。
uvbookに書いてある内容を統合しつつ、サンプルを増やす(http clientとか)
Multi-thread 改善も進める、スレッドセーフなAPIも追加する
TLS サポートもしたいと思っている。
Device 対応
左から Fedor, Ben Noordhuis, Bert Belder, Saghul という libuv allstars
Forth Date
最終日は、 Collaborators Meetup をして終了。長い長いカンファレンスだったが、途中にちゃんと面白い手を動かすようなカリキュラムもあって非常に刺激になった。
Great round table discussion about the VM abstractions API in #nodejs at #NodeCollaborationSummit #NodeInteractive pic.twitter.com/JVn2M5BknE
— Thomas Watson (@wa7son) September 18, 2016
まさにこんな感じで、みんなで VMの話、 http2の話、inclusivityの話、release 管理の話をディスカッションした。やっぱりというか inclusivity の話が一番盛り上がって、全員で1時間以上トークしてしまった。
inclusivity は答えが無いので、トークしても発散気味になるが、今時点ではこれらの問題点がちゃんと共有されることがいちばん大事なのだろう。
何もしてないけどnode.js http2 wg のメンバーになったのと、 @jovi0608 をメンバーに追加してもらった
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) September 18, 2016
まとめ
アムステルダムで4日間のカンファレンスに出席して、色々と話を聞いてきた。ものすごく面白い話が多くて、特にNode.jsの今後の話ができてよかった。 Node Interactive から Node学園祭に持ってこれるものも多いので、良い所は参考にして新しいコンテンツにしていこうと思う。
特に code-and-learn という Node Core にコントリビュートをしてみようというハンズオンが面白かったので、 Node 学園祭でも実施する予定だ。既に宣言はしてある。
今回のカンファレンスで得たものをなるべく NodeFest に還元していこうとおもう。
socket.io が提供してくれているものは何か
現在開発中のシステムにリアルタイムな処理があり、そこで socket.io を使おうかなと思ってて、そういう折にタイムリーにもこの辺りの記事がタイムラインで出てきたのでメモ代わりに自分の意見を残しておく。
socket.io が提供してくれているもの
「ブラウザとサーバ間のプロトコル」という観点で見ると socket.io
は WebSocket
を基本として繋がらなかった時に XHR Long Polling
や polling
といった形式の代替手段を提供してくれるもの、という位置づけ。
一方で「ライブラリ」という観点で見ると socket.io
はリアルタイムアプリケーションを作る際に必要になる処理をまとめて実装し、クライアントとサーバ間での EventEmitter
として抽象化してくれているもの、という風になる。
もう少し噛み砕いて言うと、 socket.io は WebSocket / Long Polling / Polling をラップした上で、さらに便利なAPIや機能を提供してくれるクライアント・サーバのライブラリ、と言ったら良いだろうか。
socket.io
がトランスポートのネゴシエーション以外にどんな面倒事を引き受けてくれるかというと、大体以下の様な感じ。
- 接続している全クライアントへのブロードキャスト処理
- クライアント・サーバ間で ping-pong する事によるheartbeat確認
- 接続が切れた時のクライアントの再接続処理
- ルーム/ネームスペースによるコネクションの管理
- 認可処理
- 到達確認
この手の「大概リアルタイムアプリ作るとき必要になるでしょ」的な処理を socket.io が勝手に用意してくれている。 Simple と Easy の違いで言うと、 Easy な API を提供してくれるものだ。
あと細かく言うと socket.io
は WebSocket
から Long Polling
/ Polling
の代替手段を提供する時に一回一回繋げるかどうか試しながら fallback するのではなく、『一旦全部繋いでみて、繋がったらその中から一番いいやつを採用する』という方式をとっている。これは初期接続の速度を速めるために採用した仕組みだったりする。
逆に言うと、 WebSocket でリアルタイムアプリ作るなら上述したような処理をクライアント・サーバで書く必要がある。
なので、 socket.io
をやめて WebSocket
だけで作るのもいいけど、 WebSocket
は Simple な API であり、色々他にも必要な処理はある。もちろんそこまで難しいものでも無いので自分で書いても問題ないとは思うが、今開発中のプロダクトではそこまでする気にならないし、後述する『 WebSocket
繋がらない問題』もあるので socket.io
を採用することにしている。
WebSocket 繋がらない問題
結論から言ってしまうと、WebSocketはWebSocket Secureにしたってつながらないこともある。なんで繋がらないのかはこの記事が詳しい。
ただし、それがどの程度の割合で繋がってて、どれ位のユーザーはつながらないのかというデータを僕含めて開発者はあまり持ってない。
前に WebSocket (not socket.io) 使ったゲームを作ってた時はモバイル向けでB2Cのアプリという事もあってか途中にproxyを挟まないからか、数万単位のユーザーがプレイしても接続不良等の問題は顕著になってなかった(掲示板などで意見収集をしてたが、繋がらないとかそういう声はなかった)。
ただ開発者が欲しいのはこういう"話"じゃなくて、アクセスログレベルで繋がってるかどうかの割合、繋がってるんだとしたらどれ位の期間維持できているのかという"指標になりうる値"だと思うので、今後開発する際はその辺りにも気を配りたい。
つながらないとした時の代替手段
単純に Server からの push としてみると WebSocket じゃなくても他に方法はある。 Server Sent Events がまさにそのケースにマッチする。
一方で、 WebSocket は push の機能だけじゃなく、双方向で通信が可能になるものなので、一方通行でサーバからしか送信しない push とは少し趣が異なる。WebSocketを使わずに双方向で通信するような処理をしたい時は Server Sent Events で実現する受信の機能と XHR での送信の機能を併用するような形を取る。
つまりはコネクションを2つ併用する形になる。ネットワークレイヤから見るとTCP接続2本貼ってて無駄はあるが、代替手段なのでしょうがない。
個人的な思い
WebSocket使うか使わないかという2択でものを考えると『WebSocket繋がらない事もある、だから諦める』ってなるんだけど、それはちょっと技術者的に負けた感強くて使える環境あるなら使って最善を目指すけど繋がらなくても代替手段を用意するという風に考えたいですね
— Yosuke FURUKAWA (@yosuke_furukawa) August 24, 2016
このツイートで言いたかったことは終わりなんだけど、あんまりこの手のリアルタイムアプリ向けのライブラリが Node.js 以外でそこまで発展していないのかもしれない。
ただ、 Rails に最近入った ActionCable を見てみると、 上に書いたような socket.io が機能としてやってくれることは大体やっていたし、今はやってないけど多分すぐにトランスポート層のネゴシエーション機能も入ると思う。
また Elixir の phoenix にはトランスポート層のネゴシエーションまでやってるライブラリがあると聞いたので、この層を解決するようなフレームワークは増えている。それも含めて積極的に使って行ったほうが良いと思う。
2016年になってウェブの世界でもプロトコルは進化していて、より良いプロトコルがあるなら使った方がいいし、実際にユーザーがちゃんと使えているのかはモニタリングしておきたい。一方で互換性をちゃんと保つことも必要で、多少無駄があるとしても繋がる/使えるという状況は保つようにしていたい。
Node.js における Promise を使った例外処理
さて、 Node.js のエラーハンドリングは難しいと言われてますが、 2016年現在、つまりNodeの v4 とか v6 が主流になり、 Promise が基本的な処理として採用されている状況ではどうでしょうか。ちょっと考えてみます。 一応これの補足です。
TL;DR
未だに難しい。ただし、 Promise で改善されている。async-await や zone まで来たらかなり楽になる。 あと、 unhandledRejection が uncaughtException よりも酷いことにならないので、大分マシになっている。
Node.js のエラーハンドリングの難しさ
まず JavaScript には同期と非同期のエラーハンドリングのやり方があります。前者は所謂 try-catch
による方法、後者は callback
を使って第一引数で実現する方法や emit('error') - on('error')
でイベントとして渡す方法等が存在します。
難しいとされるのはいくつかあって、同期と非同期が混じった時に画一的にハンドリングする方法が無いので、特に問題が起きます。
また JavaScript は Java とかと違って try-catch
を書かなくてもコンパイルエラーにならない言語なので、 catch
の書き漏れが起きやすい言語なわけです。catch
を書き漏らすと Node.js のさらに上のレイヤで補足され、誰も catch しない場合に 最終的に process
が uncaughtException
としてcatchされる事となり、そこではログに書いて落とす以外の選択肢が取れません(後述)。
非同期は非同期で on('error')
って書くスタイルや callback
のスタイルで混じります。前者は Stream というか EventEmitter を使った時の標準的な方法です、後者は最もベーシックなやり方で callback 関数の第一引数を必ず error
に当てるというものです。
つまりは画一的なエラーハンドリング処理が存在しないというのが JavaScript における難しいところの1つです。
Promise
Promise を使うと上の状況を少しだけ回避できます。Promise が提供してくれるのはこの画一的なエラーハンドリングであり、 Promise の中で起きた例外は同期の throw
であろうと reject
であろうと全て catch されて、Promise の .catch
の関数に来てくれます。よく callback-hell
の解決策として登場する Promise ですが、Promiseが解決するのはエラーハンドリングのやり方でもあります。
.catch
を書き忘れた場合には unhandledRejection
という形で uncaughtException
のように最終的に process
の所でキャッチされます。ただし、これは uncaughtException
ほど絶望的な状況じゃありません。
ただ別に Promise も例外処理を雑に扱える銀の弾丸じゃありません。 Stream / EventEmitter のように 連続でイベントが発生するようなものは Promise で表現できないので結局 .on('error')
でのハンドリングは残ると思います。
uncaughtException と unhandledRejection について
uncaughtException
も unhandledRejection
もどちらも同じようにキャッチされなかった例外が process
まで来てしまった時の例外ですが、認識しておいてもらいたいのは unhandledRejection
と uncaughtException
では処理の方法が全く異なる、という事です。
そもそもなんで uncaughtException ではprocessを落とさないといけないのか
uncaughtException
で落ちないといけないのは、簡単にいえば、例外を v8(C++) の層でキャッチしているから、です。
Node.js はイベントループモデルで作られていますが、イベントループの状態や実行中のタスクがどうなるかとか無関係に uncaughtException
が起きると v8 の C++ レイヤまで一気に突き抜けてキャッチされます。こうなってしまうともう継続不能です。イベントループがおかしくなって、結果エラーが出続ける可能性もあるし、EventEmitter で積んだはずのイベントがちゃんと処理されない可能性もあります。なので、継続するのは推奨されておらず、ログに書いて、プロセスを落としてから再起動させる以外の手段がありません。
ただ、もう少し深ぼると、 Node.js のJSレイヤで全体を try-catch
で括れば C++ レイヤまで来ないようにすることも可能です。こうすると、少なくとも イベントループ がコントロールできない状況は防げる可能性はあります。これをしなかったのは、 v8 の最適化が try-catch
のブロックが書かれた関数をJITで最適化しないという制約が存在するためです。性能を優先して、Node.js 内部ではこの方式は取られませんでした。
unhandledRejection ではなんでprocessは落ちなくていいのか
uncaughtException
は C++ のレイヤでキャッチしているという話をしましたが、 unhandledRejection
はJSレイヤで処理されています。
v8 の中のコードを見ると分かりますが、 Promise はほぼすべてのコードが JavaScript で記述されています。
uncaughtException
の時と違って C++ のレイヤまで突き抜けることはありません。 Promise が中で try-catch
しているので、unhandledRejection
が起きた所でそれは JS の中のレイヤで起きている『try-catchで例外をcatchしたけど無視されている状況』です。少なくともイベントループの状態はおかしくなったりしません。
また、 Promise としては unhandledRejection になった状態を別に禁止していません。その時点で unhandled な状態であったとしても別な時に catch される可能性があるためです。
結局のところ unhandledRejection
が起きた所でそれをどうするかはユーザーのアプリケーションに依存する訳です。
process を継続したくない時のエラー
エラーの中には process が動き続けることでより深刻な状況になるエラーも存在します。『あり得ない状況』になっているのに無理に動き続けた結果、より深刻な問題になってしまう事もあります。
『この状況になったらアプリケーションが落ちる以外に打つ手がない』という時、これまでは例外を投げて uncaughtException として落とすことができましたが、 Promise で括ってしまうと、『プロセスを継続したくない時のエラー』だろうとなんでも catch されてしまいます。
結局のところ、 JavaScript には Java で言うところの非検査例外(RuntimeException)も無ければ、 golang で言うところの panic に相当するような処理もありません。
少し前に node symposiums
という有識者だけで行われたイベントでこの辺りの『検査例外(checked exception)と非検査例外(unchecked exception)』を Promise でどう扱うかの話があったのですが、結局 JS の try-catch
のシンタックスを拡張するしかない上に、今のところこの手の話が TC39 で話されてるのも僕は知らないので、throw側 か catch側で工夫するしか無さそうです。
デフォルトの unhandledRejection の動き
今のところ、 Node.js は unhandledRejection が起きたとしてもデフォルトでは何も言いません。これは議論の最中です。
issue opener の意見としては、『unhandledRejectionが起きた時に何も言わないのはさすがにどうなのか、各種ブラウザの動きとも異なる』という話です。今のところ決定策は出てません。
ちなみに 各種ブラウザ動きが若干異なります。
- Chrome は unhandledRejection が起きた時点にエラーとして出力して終わりです
- Firefox は GC が発生した時にその段階で Promise が回収され、 rejection がハンドリングされなかったらエラーとして出力します
- IE Edge は unhandledRejection で hook はできるけど、何も言わない??(未検証)
今後どうなりそうかで言うと
- 単純に標準エラー出力に warn を吐くだけ (chrome 案)
- GC で Promise に該当するオブジェクトが 回収された時にprocessを落とす (Firefox & uncaughtException の動きに合わせる案)
- 何もしない (現状維持)
のあたりの案がありますが、個人的には現状維持かやっても chrome 案くらいかなと思っています。GCの時にデフォルトで落とすのは Promise.reject で最初からunhandledな例外オブジェクトを作れる以上、やり過ぎ感があるかなと。。
何も言わないのは一見不親切に見えるかもしれませんが、 unhandledRejection
の動きをどうするべきかは、ユーザーのアプリケーションでどうするべきかを決めることであって、 Node.js が積極的に決めることではないので、デフォルトをどうするべきか難しいのです。こういう話は『機構と方針の分離』という話もあり、機構は用意するが、方針としては何も意見を出さないという姿勢を持つような処理系の哲学でもあります。
ちなみに Domain
Domain は中で uncaughtException
を使って処理しているだけなので、もう使わないでください。
結局domainの領域でエラーがcatchできた所で uncaughtException
が起きていると、再起動する以外に策はありません。
今後としては Zone に期待しましょう。
まだ目下のところ stage 0 ですが、 domain 的に発生した exception を領域ごとにまとめて掴んで処理することができるようになるので、 unhandledRejection
よりも細やかなエラーハンドリングが可能になります。Zone は中の実装がどうなるかまだ決まりきっていませんが、おそらく Promise のような機構を使って、 JSの内部で処理をすると考えられるので、 domain よりは使えるものになる可能性が高いです。
実際の所どうするべきか
ここから先は個人的な意見で、『自分がウェブアプリケーションサーバを Node.js で作るとしたらどういう風にエラーハンドリングをするべきか』を記述しておきます。
- 基本的に Promise を使う
- Web Application Framework のミドルウェアのレイヤできちんと例外を補足する
- もしミドルウェアの外でエラーが起きても unhandledRejection を使ってエラーを補足する
基本的に Promise を使う
速度が問題になるのであれば、 これまでのスタイル(callback etc)をそのまま使ったほうがいいでしょう。ただ、所謂普通の web application のような後ろに DB があって、それをコールするような処理をするのであれば、 JIT 最適化で稼げる速度よりも IO の時間のほうが問題になるので、これまで callback で書いていたような所は Promise で置き換えても問題ないと思います。
Web Application Framework のミドルウェアのレイヤできちんと例外を補足する
koa v2 からは async-await ベースでミドルウェアが書けるようになり、 async 関数は Promise でラップされる、という事なので、 koa v2 を使えば微妙な try-catch
の書き忘れで全体の process が落ちなきゃいけなくなるというようなことは避けることが可能です。
一方で express とか hapi だと、ミドルウェアは Promise ベースじゃないので try-catch
の書き忘れにより、上記に上げたような uncaughtException
が起きる可能性はまだまだ高いと言えるでしょう。
ただ express に関しては StrongLoop が出している記事で、babel + async-awaitを含めた今後のエラーハンドリングの方法が書いてあるので紹介します。
StrongLoop | Asynchronous Error Handling in Express with Promises, Generators and ES7
// promiseのエラーをキャッチして next に渡す関数を用意しておく let wrap = fn => (...args) => fn(...args).catch(args[2]) // async 関数で middleware を書く、つまり middleware の中は Promise になる app.get('/', wrap(async function (req, res) { let data = await queryDb() // handle data let csv = await makeCsv(data) // handle csv })) // もしもエラーが発生して、 try-catch を書き忘れたりしたとしても、 エラーハンドラにエラーが渡るので express のエラーになり、プロセスが落ちなくて済む // エラーハンドラ app.use(function(err, req, res, next) { res.status(500); res.send(err); });
実際の所 try-catch
でmiddleware内部を囲んでいるのとそこまで変わりません。本来であれば、try-catch を入れてエラーをその単位でちゃんとハンドリングするのが良いですが、万が一忘れたとしてもwrap関数でerrorがunhandledRejectionにならないようになってちゃんと 500 エラーになるように担保してくれます。(ほぼ koa に近づくような話ですね。)
ちなみに Stream と一緒に使うときは下記のようにします。
app.get('/', wrap(async (req, res, next) => { let company = await getCompanyById(req.query.id) let stream = getLogoStreamById(company.id) stream.on('error', next).pipe(res) // on error でフックしたエラーを next に渡す }))
もしミドルウェアの外でエラーが起きても unhandledRejection を使ってエラーを補足する
さらに unhandledRejection
を使って ミドルウェアの外で Promise のエラーが発生しても気がつけるようにしましょう。
callback スタイルの時は callback の第一引数に渡したエラーがハンドリングされるかどうかを ESLint なりの Linter でチェックできましたが、 Promise になると、エラーを catch しているかどうかを見るのは静的解析だけでは厳しいので、 unhandledRejection
を入れてチェックするのをオススメします。特に開発期間中は変なtypoだったり、Nullpointer exception 的な問題で気づかないのは問題なので、 開発中は気付きやすいようにエラーログに入れたり、敢えて落とすようにしてチェックしやすくするのをオススメします。本番になったら unhandledRejection レイヤーでは基本的には何もしなくても問題のないケースがほとんどかと、強いてやるなら一応ログに書き出すくらいでしょうか。
if (process.env.NODE_ENV === 'development') { process.on('unhandledRejection', (err, p) => { // 開発中はログに出力する console.error('Error : ', err); console.error('Promise : ', p); // もしも気づくのを早めたかったら落とすとか // throw err; }); } process.on('unhandledRejection', (err, p) => { // 本番では何もしない // もしも何かしたければ、せめてログに書く等 // logger.error(err, p); }); process.on('uncaughtException', (err) => { console.error(err); process.abort(); // uncaughtException の時は落ちる });
まとめ
- Promise を使うとエラーを画一的に処理できる
- unhandledRejection と uncaughtException の違い
- checked exception と unchecked exception
- Node.js では Promise の unhandledRejection が起きても何も言わない
- domain はもう使わない
- 現時点で Web アプリを作る場合はどうするべきかという私見
OpenCV + Google Cloud Vision API + Intel Edison で笑った瞬間を撮るカメラを作る
やりたいこと
最近娘が生まれて二ヶ月経過し、そろそろ笑ったりするようになりました。今回のテーマは娘が笑った瞬間を逃さずにカメラで撮影する事です。ちなみにこういう子どもをネタにして行うハック、僕はこれを『親バカハック』と呼んでます。
TL; DR
- Intel Edison でカメラをセット、一定のタイミングで撮影しつつ
- OpenCV で粗く笑顔認識させてから
- Google Cloud Vision API で表情解析
- 笑顔だと判定された画像を Slack で飛ばして画像をいつでも見れるようにする。
かわいい笑顔が撮れたので最高でした。
ハードウェアセットアップ
Intel Edisonを手に入れたのでそれを使って作ります。Edison は Arduino 拡張ボードなら普通のUSB web camera 対応しているので、それをただぶっさして使います。
Intel Edison はSDカードほど小さくて、 x86 の Intel Atom というプロセッサーを積んでます。あんまり詳しくないのですが、筆者が大学の頃、太古の昔の教科書では x86 のCISC系は組み込み系に弱くて、 ARM の RISC系のが組み込みに有利という認識だったのですが、どうやら時代は変わって今ならどっちもどっちでx86なのに組み込み系に乗る時代になったようです。
ともかく、 Edison にしたのはただ『そこにあったから』です。Noderとしては Intel Edison を初期化した時に最初からnode.js v0.12 が入ってるので嬉しい(頼むからv4+にしてほしい)。本当は Intel Edison じゃなくても良くて、一番試してみたかったのは Tessel 2 なんですが、日本で手に入れるのは難しいという話だったので、一旦 Edison でトライ。
Edison がうまくつながっていれば USB web camera をただ USB port にさすだけで使えるのですが、初期の頃はさしただけで使えなくてあれこれ調べて SW1 スイッチを USB 側にしないと使えないようです(ハマりどころ)。
ちなみにほぼこれを参考にすればハードウェアのセットアップは終わります。
笑顔認識
顔画像を認識させるのは OpenCV で簡単にできるんですが、さらに笑顔認識までしようとすると、多少の小細工が必要です。 OpenCV は Cascade Classifier という機能を持っています。これは名前の通り、 分類器(classifier)を連結(cascade)させて特定するという機能です。笑顔認識で言えば、
- 顔画像領域を特定(画像の中から眼や鼻や口といった特徴のある領域を抜き出)し
- その顔画像領域の中で笑顔かどうか(顔の下半分に半月/三日月形の領域があるか)を特定する
という二段構えの分類機能の組み合わせで成立しています。 今回の OpenCV でやっているのは非常に単純かつ強力な仕組みで、2001年くらいの論文で解説されている Viola Jones Object Detection と呼ばれるものです。2001年の頃の論文が今ではライブラリとして簡単に扱えるので良い時代になったなと思ったのですが、残念ながらこの方法はそこまで精度が良くないです。構造が単純で解析に時間がかからないのが特徴です。
笑顔検出は npm モジュールから使えるようにライブラリにしています。
この smile-face-detector を使ってリアルタイムでデモする動画をとってみました。 ちなみに web 屋っぽく websocket で配信する仕組みです。
Google Cloud Vision API を使って表情解析する
OpenCV で笑ったと判断したとしても、やっていることは『顔の下半分に半月形の領域があるかどうか』、なので本当に笑っているかどうかはまだ難しいです。そこは表情解析に定評のある Google Cloud Vision API というクラウドの力を借ります。
Google Cloud Vision API は表情解析、風景解析、画像内のOCR、画像内のオブジェクト認識ととんでもなく強力な機能を持った Google の API です。これを使っただけでも何かできそうな気がしてきます。
Google Cloud Vision API は表情解析して、その表情から読み取れる感情が happy なのかそれとも sad なのか、はたまた surprised なのかといった結果を返してくれます。
ただやはりリアルタイムに解析するにはネットワーク通信のコストがかかるのとどうしても時間がかかる、あと、無料枠では1日1000リクエストまでなので、やたらめったらに送る訳にはいかないという制限があります。なので OpenCV での一旦フィルタを使って OpenCV で笑ってると判断された画像だけを Google Cloud Vision API に送るという仕組みにしています。
笑顔が検出されたら Slack に転送する
Google Cloud Vision API が happy だと判定してくれたら後は楽で、その画像を Slack に送ります。
外出中とか仕事中でもかわいい画像が見れて便利です。
はーかわいい
ただし
何日間か試して思いましたが、以下の点でこの仕組のままでは厳しいです。
1. Intel Edison がそこまで高速ではない
Intel Edison は 500MHz で dual core と組み込み系の中では高速ですが、さすがに1,2秒間隔で OpenCV を回し続けると不安定になります。 そこはやはり Raspberry PI 3 とかだと 1.2GHz quad core になるとのことなのでハードウェア側をもう少しCPUリソースが使えるものにする必要があります。もしくはC++とかで直接OpenCVを使うといいのかもしれません。
2. 首の座っていない赤ちゃんは顔画像特定が難しい
これはもうどうしようもないんですけど、まだ赤ちゃんの首が座ってないので OpenCV では正面をちゃんと向いていないと顔画像として認識してくれないので難しいです。なので顔が写ってても取りこぼすこともしばしば。これを解決するには画像を少しずつ角度を変えて実行する必要があるんですが、そうするとどうしてもさらに時間がかかってしまいます。
3. 親が笑ってると思ってもGoogle Cloud Vision API は笑ってないと判定する
自分から見ると笑ってて可愛い笑顔だなーと思って Google Cloud Vision API にかけると全くの「無表情」として帰ってきます。 Google Cloud Vision API が判定してくれるのはもっと分かりやすい笑顔なので、そこまではっきりとした笑顔になるためにはもう少し赤ちゃんの成長が必要です。
とはいえ
一旦丸3日位やってみたら、こういう可愛い笑顔が撮れました。
今はもう少し赤ちゃんの状況に合わせてリアルタイムに笑顔を撮るんじゃなくて、90秒間隔くらいで Google Cloud Vision API にかけながらSlackで様子を見てます。
まとめ
OpenCV + Google Cloud Vision API + Intel Edison で笑った瞬間を撮って、 Slack に送るカメラを作ってみました。 もう少し時間があったらEdisonじゃないハードウェアとかで試してみようかなと思います。
また Node.js で全部できそうだったので、Nodeで実現したけど、リソース効率を考えるともう少しシステムプログラミングよりの言語(CとかC++とかRust(?))を使ったほうがいいのかもしれません。
この辺も時間があったら試してみます。